「燃え殻(がら)」は、産業廃棄物のひとつで、適切な方法で処分しなければいけません。
本記事では、「燃え殻」の特徴や具体例、処理方法までくわしくご紹介いたします。

 産業廃棄物「燃えがら」とは?

「燃え殻(がら)」とは、物を焼却した際に残る残留物を指します。
あらゆる事業活動に伴い排出された燃え殻は、産業廃棄物に含まれるため、生ごみや木くずのように、一般廃棄物のごみとして処分することはできません。
産業廃棄物は、別名「産廃」とも呼ばれ、燃え殻だけでなく「鉱さい」「汚泥」「廃アルカリ」「廃酸」「廃油」など、20種類にものぼります。
これらの産業廃棄物及び特別管理廃棄物は、不法投棄や無許可業者へ処理を依頼した場合は、環境省が定める「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」に違反することになります。
製造業の企業や工場だけでなく、個人事業や病院、学校で発生した場合だけでなく、火災で焼け残った家を業者が解体した場合は、燃え殻として処分しなければいけません。

産業廃棄物「ばいじん」との違いは?

燃え殻:焼却炉などで燃やした後に、底に残った燃えかす

ばいじん:空中に飛散した粒子状のダストやススを集塵機(しゅうじんき)で集めたもの

産業廃棄物の20品目の中には、「ばいじん」と呼ばれるものが含まれています。
ばいじんも、燃え殻と同様に、製造や焼却工程で発生した物質のため、燃え殻と混同されることが多いです。
しかし、燃え殻とばいじんは違うもので、焼却炉などで燃やした後に、底に残った燃えかすが「燃え殻」。
焼却後に、物が焼ききれず空中に飛散した粒子状のダストやススを集塵機(しゅうじんき)で集めたものが「ばいじん」に分類されます。

産業廃棄物「燃え殻」の具体的な例は?

事業活動で焼却した際に発生したものが、「燃え殻」として該当します。

  • 廃棄物焼却灰
  • 石炭がら
  • コークス灰
  • 重油燃焼灰
  • 煙道灰
  • アルミ灰
  • 下水道焼却灰
  • 製紙スラッジ焼却灰
  • 炉清掃排出物
  • 廃カーボン類
  • 廃活性炭
  • 各種重金属含有焼却灰

上記の種類以外にも、焼却した際に出た残留物は、「燃え殻」として分類されるため正しい処理が必要となります。

産業廃棄物「燃え殻」の処理方法は?

回収された燃え殻は、「埋め立て処理」か「リサイクル処理」のいずれかで処理されます。

埋め立て処理

燃え殻は、コンテナなど特別な容器に収集・運搬され、管理型最終処分場で埋め立て処分されます。
一部、重金属を含む燃え殻は、コンクリート固化を施し、有害物質の溶出を防いでから埋めることになります。

コンクリート固化が難しい場合は、コンクリートで覆われ、公共水に影響を及ぼさない遮断型の最終処分場で処分されます。

リサイクル処理

燃え殻の中には、再生・リサイクル可能なものもあります。
1,200度以上の高温で溶かし再度固める溶融スラグ化を行い、土木資材や建築資材にしたり、高熱で処理する焼成後に、道路で使われるセメントの原料として再利用されたりします。

燃え殻の廃棄量と最終処分率は?

【廃棄量に対する最終処分率の割合(2020年度)】

最終処分率再生利用量減量化量
1.燃え殻22%71%6%
2.ゴムくず18%63%18%
3.ガラス・コンクリート16%78%6%
4.廃プラスチック類15%60%24%
5.機械くず15%57%27%

集計データ引用:https://www.env.go.jp/content/000046441.pdf

環境省が2022年4月に報告した「産業廃棄物排出・処理状況調査報告書(令和2年度速報値)」で発表された数値を、最終処分率の高い順に一覧表にまとめました。

上記表から、燃え殻は最終処分率が最も高いことが分かります。
燃え殻は、もともと焼却後の残留物のため、減量化率も低いことや再利用が難しい性質を持っているのが理由です。

燃え殻などの産業廃棄物には分析が必要

燃え殻を埋め立て処分する前に、残留物に土壌を汚染したり、健康に被害を及ぼすとされるダイオキシン類などの有害物質が含まれていないか、分析と検査をする必要があります。

実際、環境省が定める「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」には、「埋立基準」が設けられていて、許容される有害物質の量が明確に定められています。
そのため、各処分施設では、行政指導を受けているため、産業廃棄物を持ち込むためには、有害物質が基準値を下回っていることを示す証明が必要となります。
燃え殻をはじめ、産業廃棄物の正しい対応方法と理解を深めることは、法令を順守するだけでなく環境保全にもつながります。
未来の環境を守るためにも、適切な処分やリサイクルの手順を踏みましょう。
燃え殻の分析についての詳細やお見積りは、下記にて受け付けております。ご不明点などがあれば、お気軽にお問い合わせください

https://sanpaibunseki.com/cinder/