【産廃分析】産業廃棄物とは? その6:産業廃棄物の種類③

産業廃棄物の種類について
今回も前回までに引き続き特管産廃についての内容となります。
前回は特管産廃のうち、④特定有害産業廃棄物の(1)廃PCB等、PCB汚染物、PCB処理物、(2)廃水銀等、(3)廃石綿等について解説しました。
今回は(4)有害金属等を含む産業廃棄物について詳しく触れていきます。
過去の解説コラムはこちらになります。
第一回:「産業廃棄物とは? その1:廃棄物と有価物」
第二回:「産業廃棄物とは? その2:産業廃棄物と一般廃棄物 ①」
第三回:「産業廃棄物とは? その3:産業廃棄物と一般廃棄物 ②」
第四回:「産業廃棄物とは? その4:産業廃棄物の種類①」
第五回:「産業廃棄物とは? その5:産業廃棄物の種類②」
有害金属等を含む産業廃棄物とは
こちらは(1)~(3)以外の廃棄物群になります。特定の排出源から排出され、且つ金属などの有害物質が基準値を超える特定の産廃が(4)に該当します。「金属などの有害物質」とは具体的に以下の26項目になります。(2025年10月 現在)
- アルキル水銀化合物
- 水銀又はその化合物
- カドミウム又はその化合物
- 鉛又はその化合物
- 有機燐化合物
- 六価クロム化合物
- 砒素又はその化合物
- シアン化合物
- ポリ塩化ビフェニル(PCB)
- トリクロロエチレン
- テトラクロロエチレン
- ジクロロメタン
- 四塩化炭素
- 1,2-ジクロロエタン
- 1,1-ジクロロエチレン
- シス-1,2ジクロロエチレン
- 1,1,1-トリクロロエタン
- 1,1,2-トリクロロエタン
- 1,3-ジクロロプロペン
- チウラム
- シマジン
- チオベンカルブ
- ベンゼン
- セレン又はその化合物
- 1,4-ジオキサン
- ダイオキシン類(DXN類)
また「特定の産廃」とは、廃油(廃溶剤)、鉱さい、ばいじん、燃え殻、汚泥、廃酸、廃アルカリ、基準不適合処理物となります。このうち、廃油、廃酸・廃アルカリ、基準不適合物は少々特殊であるため、それぞれ補足します。
廃油(廃溶剤)
ここでいう廃油とは、特管産廃の①廃油(燃焼性)とは異なり、特定の有害物質を含む廃溶剤を指しています。特定の有害物質とは揮発性の有害物質のことで、具体的には26項目のうち、10~19・23・25の12項目となります。
こちらの廃油のみ、基準値に関わらず、特定の施設で特定の物質を使用しているという条件が合致した時点で、④特定有害産廃とされます。基準値を用いずに判定される点が他と異なります。
また「廃油」と称していますが、こちらは基本的に廃溶剤を想定した規定であるため、一般的に想起される「油」に類するものはこちらの「廃油」には該当しない場合が多いです。
廃酸・廃アルカリ
こちらも特管産廃②腐食性の廃酸・廃アルカリとは異なり、特定施設から排出された廃酸・廃アルカリのうち、特定の有害物質を含む液体を指します。つまり廃酸・廃アルカリが特管産廃に該当するかの判定は、まずpHにて判断され、次に含まれている有害物質にて判断される、というように二段階でなされます。②腐食性の廃酸・廃アルカリ該当か、④特定有害産廃(金属等を含む産廃)該当かで、扱いや処理ルートが異なるため注意が必要です。
基準不適合処理物
こちらは各特定有害産廃の処理物で、処理した産廃に係る有害物質の基準を超過したものを指します。(1)~(3)にもあったように、該当産廃のみでなく、その処理物についても同様の扱いをすることになります。
有害金属等を含む産廃に該当するかの見極め
上記の補足にも度々登場しているように、「有害金属等を含む産廃」に該当するかを判断するうえで、「特定の施設で排出されたか」ということは非常に重要になってきます。なぜならば、各産廃に対して係る特定施設が定められており、その特定施設から排出されていなければ、たとえ基準値を超過する項目があったとしても、有害金属等を含む産廃とは扱わない、からです。
有害金属等を含む産廃に該当しない=特定有害産廃に該当しない=特管産廃に該当しない、ということになります。
【例】
A.廃プラスチック類焼却施設で発生したばいじんで、鉛又はその化合物のみ基準値を超過
…このばいじんは特定有害産廃に該当(=特管産廃に該当)
B.石炭ボイラーで発生したばいじんで、鉛又はその化合物のみ基準値を超過
…このばいじんは特定有害産廃に非該当(=特管産廃ではない)
同じ種類の廃棄物であっても、排出した施設と超過した項目の組み合わせ次第で、普通の産廃として扱うか特管産廃として扱うかが変わります。したがって、各項目が基準値を超過した場合であっても、必ずしも特管産廃になるとは限らないと言えます。
とはいえ、受け入れ先からすれば、有害物質を含む産廃をそのまま受け入れることはできないため、基準値を超過する項目がある普通の産廃は、「特管産廃該当扱い」として、特管産廃同様の扱いで受け入れるところがほとんどです。そのため、結局は多くの産廃検体にて、特定の項目の分析が必要となっています。
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