【産廃分析】産業廃棄物とは? その5:産業廃棄物の種類②

産業廃棄物の種類について
今回は前回に引き続き特管産廃についての内容となります。
前回お話しした特管産廃のうち、④特定有害産業廃棄物について詳しく触れていきます。
過去の解説コラムはこちらになります。
第一回:「産業廃棄物とは? その1:廃棄物と有価物」
第二回:「産業廃棄物とは? その2:産業廃棄物と一般廃棄物 ①」
第三回:「産業廃棄物とは? その3:産業廃棄物と一般廃棄物 ②」
第四回:「産業廃棄物とは? その4:産業廃棄物の種類①」
特管産廃の種類
特管産廃は具体的に以下の4種類に分類されます。
- 燃焼性の廃油
- 腐食性の廃酸、廃アルカリ
- 感染性産業廃棄物
- 特定有害産業廃棄物
今回は④についてより詳しく取り上げます。
④ 特定有害産業廃棄物
特定有害産業廃棄物とは、PCBや水銀、アスベストなどの有害な物質を含み、且つ特定の事業や排出源から排出される産廃を指します。具体的には、以下の4種に大別されます。
- 廃PCB等、PCB汚染物、PCB処理物
- 廃水銀等
- 廃石綿等
- 有害金属等を含む産業廃棄物
このうち④は対象有害物質や廃棄物種が多いため、次回のコラムにて詳しく取り上げます。今回は①~③についてより詳しく取り上げます。
(1) 廃PCB等、PCB汚染物、PCB処理物
こちらはPCB(ポリ塩化ビフェニル)に関係する廃棄物群となります。総称としてPCB廃棄物などと表現することもあります。
廃PCB等 | PCBそのものを含む廃油。 代表的なものは、コンデンサ等に使用されている絶縁油、などが挙げられます。 |
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PCB汚染物 | PCBが塗布される、染み込んでいる、付着しているなど、PCBが含まれているもの。 紙くず、木くず、繊維くず、廃プラスチック類、金属くず、陶磁器くず等、対象の廃棄物は多岐にわたります。代表的なものは、感圧複写紙、トランスやコンデンサの電気機器、廃PCB等をふき取ったウェス、などが挙げられます。 |
PCB処理物 | 廃PCB等又はPCB汚染物を処分するために処理したもので、基準に適合しないもの。 PCB廃棄物を処分する場合、PCBを無害化する特殊な処理等を行うことになります。その過程で使用されたものや機器のうち、基準値に適合しないものをPCB処理物として扱います。処理の過程でPCBが移ってしまう可能性等を考慮してのものとなります。もし基準値を超える場合は、これらもPCB処理物として再度、無害化等の処理を施すことになります。 |
PCBに関してはPCB特別措置法(H13年法律第65号)にて別途規制や取り扱いが定められており、通常の廃棄物よりも厳しい管理と厳密な処分が求められます。
また高濃度のPCB廃棄物を処理できる施設が全国5カ所と限られており、尚且つ全ての高濃度PCB廃棄物の処理完了に制限時間が設けられているため、特に高濃度のPCB廃棄物は処分するハードルが非常に高い産廃の一つといえます。
(2)廃水銀等
こちらは水銀に関係する廃棄物群となります。以下のア~ウに該当する廃水銀等及びそれらを処分するために処理したものが対象となります。
ア | 特定の施設において生じた廃水銀等で、且つ水銀使用製品が産廃となったものに封入された廃水銀等を除くもの。 特定の施設とは、水銀使用製品の製造の用に供する施設、国又は地方公共団体の試験研究機関、大学及びその付属試験研究機関、など17の施設が定められています。 |
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イ | 水銀もしくはその化合物が含まれている産廃、又は水銀使用製品が産廃となったものから回収した廃水銀。 回収した水銀そのものが対象です。水銀使用製品の例としては、蛍光ランプ、水銀電池、気圧計、体温計、血圧計、などが挙げられます。 |
ウ | ア~イに該当する廃水銀等を処分するために処理したもので、基準に適合しないもの。 PCBと同じ考え方となります。基準値を超過する場合は処分するために処理したものも廃水銀等に該当することになります。 |
ここでいう廃水銀等は、水銀又はその化合物が多く含まれる「何か」というよりは、水銀及びその化合物「そのもの」が廃棄物となったものを指します。そのためア~イに該当する場合は、即ち廃水銀等と判断されます。判定するための基準値などもないため、基本的には廃水銀等に該当するかを調べるための分析は行いません。ウのみPCB同様、判定基準があり、基準を超過すると廃水銀等扱いとなります。
水銀の溶出基準を超える汚泥や燃え殻についは(4)有害金属等を含む産廃 として扱われます。また特定の廃棄物のうち、水銀の含有基準を超えるものを「水銀含有ばいじん等」として扱いますが、水銀含有ばいじん等は特管産廃には該当しないため、こちらも廃水銀等として扱われることはありません。
これらの廃水銀等以外の水銀を含む廃棄物は、まとめて「水銀汚染物」と称されることもあります。
(3)廃石綿等
こちらは石綿(アスベスト)に関係する廃棄物群となります。廃石綿等では特に「飛散するおそれのあるもの」を重要視し、以下のようなものを対象と定義しています。
石綿建材 除去事業 関係 | 建築物その他の工作物(建築物等)に用いられる材料であって、石綿を吹き付けられたものから石綿建材除去事業により除去された石綿そのもの。 |
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建築物等に用いられる材料であって、石綿を含むもののうち、石綿建材除去事業により除去された以下のもの。 ・石綿保温材 ・けいそう土保温材 ・パーライト保温材 ・上記と同等以上に石綿が飛散するおそれのある保温材、断熱材、耐火被覆材 | |
石綿建材除去事業において用いられて廃棄された、プラスチックシート、防じんマスク、作業着、その他の用具・器具であって、石綿が付着しているおそれのあるもの。 | |
施設関係 | 特定粉じん発生施設で生じた石綿で、集じん施設で集められたもの。 |
特定粉じん発生施設又は集じん施設にて用いられて廃棄された、防じんマスク、集じんフィルタ、その他の用具・器具であって、石綿が付着しているおそれのあるもの。 |
廃石綿等にも基準値などはなく、上記に該当すると判断された時点で廃石綿等として扱われます。
上記に該当しない産廃であって、石綿をその重量の0.1%を超えて含有するものを「石綿含有産業廃棄物」としていますが、こちらの石綿含有産廃は特管産廃には該当しません。
廃石綿等と石綿含有産廃は似通ってみえる部分もありますが、この特管産廃であるか否かに大きな違いがある点に注意が必要です。
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