六価クロムってどんなもの? 毒性と基準値

2024年3月に、広島県にて六価クロムを帯びた猫が逃げ出したというニュースがありました。

メッキ工場の六価クロム槽に転落した猫が、その後工場から逃げ出したとのことで、行政からは対象の猫をみつけても、絶対に触れることのないよう呼びかけがありました。

これは六価クロムが強い毒性も持っているためです。では六価クロムとはどのようなものなのか、今回取り上げてみたいと思います。

クロムについて

クロムは原子番号24、原子記号Crの金属です。人間にとって微量必須元素であり、クロムそのものに毒性はないとされています。

一方、クロム化合物に関しては、価数が3のものと6のものがあり、これがそれぞれ「三価クロム」「六価クロム」と呼称されています。

三価クロムは自然界に広く存在し、毒性もなく比較的安全であるのに対し、六価クロムは人工的に生成されるものが多く、強い毒性を持っています。そのため、有害物質として定められているのは「クロム」ではなく「六価クロム」であることが多く、「クロム」としてではなく、「六価クロム」として分析する機会が圧倒的に多い項目となります。

六価クロムの毒性について

六価クロムは強い酸化作用があるため、皮膚や粘膜に付着した状態が続くと、炎症や腫瘍の原因となります。また発がん性も確認されており、国際がん研究機関(IARC)は六価クロムをグループ1(人に対して発がん性がある)に分類しています。主に呼吸器系、消化器系への影響が強いとされています。

六価クロムの主な基準値

六価クロムは強い毒性を持つことから、環境基準などで有害物質として規定されています。主だった基準値は以下のようになります。

水質汚濁に係る環境基準0.02mg/L
水道水質基準0.02mg/L
土壌 環境基準(溶出)0.05mg/L
土壌汚染対策法(含有)250mg/kg
産業廃棄物基準(溶出)1.5mg/L
産業廃棄物基準(廃酸・廃アルカリ)5mg/L
※2024年3月現在の各法令等の数値を抜粋しています。管轄行政などによっては、更に厳しい独自基準を設けている場合もあります。

六価クロム分析に関するお問い合わせ・お見積依頼

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