【産廃分析】産業廃棄物とは? その1:廃棄物と有価物

産業廃棄物(産廃)とは?

産業廃棄物や産廃といった言葉は、社会に出て仕事をしていますと、それなりに耳にするかと思います。では具体的に「産業廃棄物」とは何を指すのか?この問いに答えられる方は少ないのではないのでしょうか。本コラムでは数回に分けて産業廃棄物(産廃)とは何なのかを簡単に解説していきます。

廃棄物処理法「廃棄物」

産廃の話をするにあたり、まずは「廃棄物」について確認しておく必要があります。廃棄物については、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」にて定義されています。この法律は廃棄物全般について広く定めた基本的な法で、「廃棄物処理法」「廃掃法」などと呼称されることが多いです。

廃棄物処理法では、廃棄物とは「ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状のもの」としています。

だいぶざっくりとしていますが、要するに「不要物」のうち「固形状又は液状のもの」が「廃棄物」ということになります。固形状又は液状が条件ですので、気体は対象外となります。例えば工場から出る排ガスなどは廃棄物には該当しないということになります。

「不要物」については、「占有者が自分で利用できない・他人に有償で譲渡することができないために、不要となった」もの、という解釈があります。つまり、占有者(所有者)自身にとって不要であり、尚且つ他者にも買い取りや物々交換をしてもらえない≒自他共に不要で価値のないもの、が「不要物」と考えられます。

以上により、廃棄物とは、自他共に不要とされるもののうち、固形状・液状のもの、と考えますとわかりやすいかと思われます。

廃棄物処理法「有価物」

廃棄物に対して「有価物」という言葉がしばしば挙がります。「有価物」とは不要物の逆で、「占有者が利用できるもの、又は他者に有償で譲渡できるもの」と定義されます。何らかの価値が残っているものと考えますとシンプルですが、少々複雑な部分は、「自分には価値がない」ものであっても「他者にとって価値がある(有償で取引できる)」ものは有価物と考えられる点です。

例えば壊れて使えなくなったスマートフォン(スマホ)は、持ち主(占有者)にとっては不要なものです。この点から見ればこの「壊れたスマホ」は廃棄物と考えられます。しかし昨今のスマホには数々のレアメタル等が使用されていますので、本体や部品そのものに価値があり、壊れていようが有償で買い取る業者が存在します。したがってこの「壊れたスマホ」は有価物とされることも少なくありません。

以上のように、廃棄物であるか有価物であるかは、多角的な視点で判断する必要があります。

廃棄物と有価物の判断

廃棄物処理法においてはこの「廃棄物であるか有価物であるか」が非常に重要な意味を持ちます。なぜならば、廃棄物処理法は「廃棄物」に係る法律であり、「有価物」に対してはその効力を発揮しないからです。

廃棄物処理法及びその関係法令では、廃棄物の定義から、排出、保管、収集運搬、処理・処分など、廃棄物にまつわる広い事柄について定めており、その規定に基づいて適切に管理~処分を実施することを義務付けています。しかしこの事細かな規定は、あくまで廃棄物に対して係るもので、それ以外のものには何ら規制や義務を課すものではないのです。

つまり有価物であれば、廃棄物処理法に則った管理や処分を実施する必要がないのです。

このような状況から、廃棄物であろうと思われるものを有価物と言い張り、規定通りの管理や処理方法から逃れようとする事案が発生していました。これらは裁判で実際に争われたケースもあり、その結果が廃棄物と有価物の判断の解釈として利用されています。

廃棄物と有価物の判断は、一当事者のみで判断することができないため、今でも判断が難しい曖昧なケースも存在しています。現在は自治体ごとに解釈や考え方を定義していたり、廃棄物を受け入れる施設にて独自の基準を設けていたりすることも多いため、それらを活用することも判断の一因になると思われます。

産業廃棄物まとめ

廃棄物と有価物の関係(考え方)が少々複雑であることは、上記の通りとなります。S52年の通知に「廃棄物とは(中略)、これに該当するか否かは、占有者の意思、その性状等を総合的に勘案すべきものであって、排出された時点で客観的に廃棄物として観念できるものではない」としていますように、様々な要因を考慮して廃棄物か否かの判断をする必要があります。

明らかに廃棄物であるものを有価物とするケースを先ほど紹介しましたが、逆に、自分では有価物と思っていたものが実は廃棄物であったというケースも存在します。特に産業廃棄物においては「廃棄物」と「廃棄物ではないもの」の概念は重要ですので、「知らなかった」が故に違法なことをしていた、とならないように気を付けたいところです。

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